US, Promo Only, MCAレーベルジャケ, 表面スレ多いが普通の中古盤レベル
お待ちど〜さま！の再入荷。
因縁の１枚である。
しかしながら、コレが因縁の1枚だという事が、キチンと説明されているのを見た事がないし、
そもそも、この盤自体をオススメしているレコ屋は、ウチ以外ほぼ皆無と言って良いだろう。
ここで今さら、Joe Sampleが誰で、どれくらいの重要人物なのかを説明する気はない。
彼がアノCrusadersの中心人物であり、
ピアノ奏者としてシーンを代表する偉人だって事くらいを知っていれば十分かと思う。
彼のファンの方々には申し訳ないが、彼に対して特別な思い入れがあるワケじゃなく、
ここでは、あくまでPhyllis HymanのVocalワークにのみ注目したい。
この曲でもPhyllis HymanのVocalは素晴らしく、大して特筆すべき内容ではないトラックなのに、
サビが頭に残っちゃうほどの印象的な仕上がりだ。
ただ、さすがにJoe Sampleらしく、決して単調な曲の作りでは無いので、実はMix Playには使いづらい。
彼女の代表曲、例えば"You Know How To Love Me"とか"You Sure Look Good To Me"や、
"Under Your Spell"も、よくよく聴き直してみると、それらが実は、典型的なDance Classics群や、
有名どころのProducerやRemixerが絡んだような歌モノR&Bなどとは、
似ていて異なる作りの曲調となっていることに気付く。
さすがはMtume/Lucas作品だ。
それだけに、相当なセンスとスキルと「引き出し」を持ったDJじゃないと、
彼女の曲の良さをキッチリ生かしたスムースなMixが出来ない。
逆説的な言い方をすれば、似たような曲や、同じようなネタを使用した曲ばかりが氾濫している世の中だから、
容易にMixができない曲こそが、実は、オリジナリティに溢れた素晴らしい作品の証しなのかもしれない。
前述の3曲にはOfficialなInstというのが存在しないが、
曲の完成度が高いうえ、Mixに使用するのならば、やっぱりInstも欲しいと思うDJも少なくないだろう。
しかし、その3曲を、自分のアタマの中でInstにして鳴らしてみても、
それが原曲の良さには遠く及ばぬシロモノであることに気付く。
天下のMtume/Lucas作品にもかかわらずだ。
言い換えれば、Phyllis HymanのVocalが入って初めて、名曲として最高の完成度が実現されたワケだ。
そう、この"The Survivor"も丸っきり同様で、Phyllis HymanのVocalが入っているからこそ聴く価値がある。
B面にはInstも入っているんだが、それを聴いても、
トラック自体に、何かをアピールするような魅力が在るとは思えない。
Joe Sample feat: Phyllis Hymanなんて感じじゃなく、Phyllis Hyman with Joe Sampleくらいな感じだ。
驚くべき事に、この"The Survivor "、実は当初、Phyllis Hymanではなく、
まだ無名に近かったVesta (Williams)をVocalとして起用する予定となっていたらしい。
MCAはセールスを考慮して、もっと有名なVocalistを起用しようとし、
結局Phyllis Hymanに決定したというのが事の顛末だと言われている。
確かにVestaのVersを聴いてみたい気はするのだが、
前述のInstと同様にアタマの中で、この曲のInstにVestaのVocalをハメてみると・・・
う〜ん、やっぱりPhyllis Hymanにはかなわない。
結局、この曲はレコード会社が狙ったよ〜なセールスは達成できず、
Phyllis Hymanのワザ有りのVocalばかりが目立って、
一番の中心人物であるハズのJoe Sampleの影さえ薄くなってしまった。
彼自身の存在をアピールするのなら、最初っからVestaを使うべきだったかもしれないネ（笑）。
12"はExtended Vers入りで、そのうえPromo Onlyと、何から何まで因縁めいている。
YouTubeには以前、この曲のLive映像までアップされていたほどだが、
最近ではタイミングが悪いと、音源がひとつもアップされていないなんていう事もあるのでご了承あれ。
【仕様はDiscogsでチェック】
https://www.discogs.com/release/1264424
【音はYouTubeでチェック】
https://www.youtube.com/watch?v=Yn6tx3d7Kas
